ピロリ菌について
- ピロリ菌とは人などの胃に生息するらせん型のグラム陰性微好気性細菌です。
感染したほとんどの人に胃炎がおこり、潰瘍や胃癌を発症することもございます。 - ピロリ菌は除菌をしない限り、胃の中にすみ続け慢性的炎症が続き、胃の粘膜を防御する力が弱まります。
その結果、ストレスや塩分の多い食事、発癌物質などの攻撃を受けやすい無防備な状態となります。
ピロリ菌の検査
ピロリ菌の検査には、内視鏡(胃カメラ)検査を伴う方法と、内視鏡検査を伴わない方法があり、それぞれ3つずつ方法がございます。
内視鏡検査を伴う方法
内視鏡で胃の粘膜を少しだけ採取し、下記のいずれかの方法で検査致します。
培養法
胃の粘膜を磨り潰し、発育環境下で5〜7日間程度培養して判定致します。
迅速ウレアーゼ法
ウレアーゼという酵素の働きによって作られるアンモニアの有無を調査します。
組織鏡検法
胃粘膜の組織標本に特殊な染色を施し、顕微鏡でピロリ菌の有無を調査します。
内視鏡検査を伴わない方法
内視鏡検査を行わず、次のいずれかの方法で検査します。
尿素呼気試験
吐き出した息を集めて調べる最も精度の高い方法です。ウレアーゼという酵素の働きによって作られる二酸化炭素の量を調査します。
抗体測定法
ピロリ菌に対する抗体が血液に存在するかを調べる方法です。
糞便中抗原測定法
糞便中にピロリ菌の抗原(細菌毒素や菌体成分)の有無を調査する方法です。
ピロリ菌の除菌治療
- ピロリ菌の除菌には、プロトンポンプ阻害薬(胃酸の分泌を抑える薬)と抗生物質を7日間服用します。
- プロトンポンプ阻害薬で胃酸の分泌を抑え、抗生物質でピロリ菌を除菌する方法になります。
- 服用終了後から約1ヶ月後以降に、除菌療法の効果を判定します。
- この方法による除菌率は、日本では70~90%と報告されています。
- 最初の除菌療法でうまくいかなかった場合は、違う薬を使って再度、除菌療法を行うことができます(二次除菌)。この方法により、さらに90%以上の方で除菌が可能と言われています。 二次除菌まで保険適応が認められています。
- ピロリ菌感染により慢性胃炎の状態が続くと、胃粘膜が弱り、うすくやせて萎縮してしまいます。萎縮が進行した結果、胃がんを引き起こしやすい状態になってしまいます。ピロリ菌も持つ全員に胃がんが発生するわけではありませんが、ピロリ菌の感染者は胃がんリスクが約5倍に高まることが分かっています。萎縮を進行させないために除菌をすることで、胃がんの発生率の軽減につながります。
ピロリ菌検査費用
検査方法 | 3割負担 | 1割負担 | 自費 |
---|---|---|---|
迅速ウレアーゼ試験 (内視鏡) | ¥1,650 | ¥550 | ¥5,490 |
鏡検法 (内視鏡) | ¥3,960 | ¥1,320 | ¥13,200 |
培養法 (内視鏡) | ¥1,920 | ¥640 | ¥6,400 |
抗体測定 (採血) | ¥750 | ¥250 | ¥2,490 |
尿素呼気試験 (呼気検査) | ¥1,480 | ¥490 | ¥4,630 |
糞便中抗原測定 (便検査) | ¥860 | ¥290 | ¥2,860 |
- 保険診療については初診料・再診料は含まれていません。
- 内視鏡検査が必要なものについては、内視鏡検査の費用は含まれていません。
- ピロリ菌の検査のみの費用です。